むし歯とは
むし歯(虫歯、むしば)は、歯の表面にできる腐食性の疾患です。
むし歯は、お口の中の細菌(主にミュータンス連鎖球菌)が食べ物の残りかすや砂糖を代謝する際に生じる酸によって歯のエナメル質(歯の表面を覆う硬い層)を溶かし始めることから始まります。このプロセスが進行すると、酸によって溶かされたエナメル質の下にある象牙質(歯の主要な組織)も侵食され、最終的には歯の「神経」(歯髄)まで到達することがあります。
むし歯の初期段階では症状がほとんど現れないことがありますが、進行すると歯に穴が開いたり、感染が進んで歯の神経が損傷されることで痛みが生じることがあります。むし歯は歯の咀嚼機能の低下や口臭、歯の変色などの問題を引き起こすことがあります。
歯科治療の基本原則
むし歯治療、歯周病治療をはじめ、感染性の歯の病気を治療するときの原則は次の通りです。
- 感染源および感染した組織を取り除くこと
- ダメージを受けた歯の機能を修復・回復させること
この原則は、時代が変わっても、また、治療に用いる器具や材料が変わっても同じです。
2024年現在においては、「塗っておくだけでむし歯菌がいなくなる薬」や「むし歯であいた穴がふさがる薬」、「歯が再生する薬」などは存在しません。
むし歯治療では、むし歯菌に冒された感染歯質を徹底的に取り除くことが求められます。
このとき、「むし歯を削る」ということになります。
愛歯科医院・精密むし歯治療でのこだわり
上に記した歯科治療の基本原則を確実にするために、愛歯科医院の精密むし歯治療では、次のようなこだわりをもって治療にのぞんでいます。
顕微鏡(マイクロスコープ)を使用
むし歯の治療後に再発してしまう原因にはいくつかあります。その中の一つに、取り除かれるべきむし歯が残ってしまっていることがあります。
治療の際にむし歯の取り残しを防ぐため、顕微鏡(マイクロスコープ)を活用し、患部を拡大して観察しながら治療を進めます。
顕微鏡(マイクロスコープ)のもとで治療が行われると、治療の過程を画像で記録することができます。むし歯の状態がどのようなものであったのか、治療はどのように行われたのか、記録された画像は患者さんご自身でご覧いただくことができます。
また、治療に入る前の診察や説明にも顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しております。
ラバーダムを設置し、無菌的環境を構築
むし歯の治療に際しては、お口の中の常在菌が治療範囲に侵入するリスクを減らし、無菌的環境を整えることが必要です。
そのために、ラバーダムを設置してから治療を進めます。
ラバーダムを設置することによって、治療部位が唾液から離されて乾燥しますから、治療で用いる接着剤や樹脂材料の性能をフルに発揮できるようになります。
精密むし歯治療の診療ステップ
愛歯科医院の精密むし歯治療では、次のようなステップで治療を進めています。
STEP.1診察・検査・診断
視診・触診、X線写真(レントゲン写真)、マイクロスコープ診査など、各種検査機器を適切に用いて、診察・検査・診断を行います。
STEP.2前準備
むし歯治療を始める前準備として、クリーニングを行います。歯石や歯垢(プラーク)を取り除いておきます。
必要に応じて麻酔(局所麻酔)を行います。
ラバーダムを設置します。
ラバーダムを設置することで、治療中の水や薬品が喉に流れ込むことや、唾液中の細菌(口腔常在菌)が患部に入ることを防げるようになります。
また、患部を乾燥させることができるので、治療に使う接着剤や樹脂材料の、本来の性能を発揮できるようになります。
(ラバーダムが設置できない場合は、zooという吸引乾燥装置を使います)
STEP.3むし歯の除去
マイクロスコープで観察しながら、むし歯を除去していきます。
この段階はいわゆる「歯を削る」というステップになります。
やみくもに歯を削るのではなく、患部をしっかり取り除くのだととらえてください。
STEP.4直接覆髄・コーティング
むし歯を取り除いた後は、歯髄(歯の神経)の保護とむし歯の再発防止に努めます。
むし歯の発症は、本来であれば外部に露出していない「象牙質」という部分がむき出しになっている状態です。この状態が続くと、むし歯の再発リスクが高くなります。
これを防ぐためにまず、ハイドロキシアパタイトやMTAによって、ダメージを受けた象牙質にカルシムを充填します。
そして、歯にくっつく樹脂材料によって露出した象牙質を保護します。
これで「治療」は完了となりますので、次は「修復」の工程に進んでいきます。
STEP.5修復
「治療」の次は歯の機能と形の「修復」の工程へと進んでいきます。
むし歯の浸食状況やかみ合わせを考慮して、適切な修復方法を検討していきます。
具体的には以下のような方法を検討します。
・クラウン
・歯を部分的に修復するインレー、アンレー、ダイレクトボンディング
むし歯が深く、神経に達していたら?
むし歯が深く進行していて、歯の神経(歯髄)にまで到達している場合があります。
そのような場合、神経(歯髄)を残すかどうか、残せるかどうかの判断が必要になります。
そしてその判断に従って、歯髄温存療法に進むか、精密根管治療に進むのかに分かれます。
歯髄温存療法
日本で広く行われる保険診療では、むし歯が進行して神経(歯髄)に到達している場合、「抜髄(いわゆる”神経を抜く”)処置」が行われることがほとんどです。
しかし抜髄が行われると歯の強度が下がり、将来において歯の寿命が短くなってきます。できるだけ神経を残して、歯の寿命を延ばしたいーこれは愛歯科医院の基本的なミッションです。
精密根管治療
根管治療とは、歯の中にある「根管」と呼ばれる部分をきれいにする治療です。歯は外側に見える部分だけでなく、内側にも神経と血管が通っています。しかし、虫歯やケガなどで歯の中に細菌が入ると、神経が痛くなったり、腫れたりすることがあります。
根管治療では、特別な器具を使って歯の中の神経や細菌を取り除きます。その後、根管をきれいにするために細かい洗浄を行い、薬を詰めます。
神経が残せないという判断に至った場合は、根管治療を行うことが必要になります。
愛歯科医院では、日本で通常よく行われている根管治療と比べ、より精密でこだわりのつまった「精密根管治療」を提供しています。
ほとんどの場合、治療前の検査の段階で治療内容は定まりますので、「現場で判断」というのは実は多くありません。
見通しについては治療前のカウンセリングでお話いたします。
しかしながら、歯の状態、神経の状態が、術前に想定しえない状態である可能性もありますので、念のため記します。
精密むし歯治療の費用
項目 | 料金(税込) |
---|---|
精密むし歯治療 | 22,000円 |
歯髄温存療法 | 33,000円 |
ダイレクトボンディング | 55,000~77,000円 |
ゴールドインレー/アンレー | 66,000~88,000円 |
セラミックインレー | 88,000~99,000円 |
精密むし歯治療での注意事項
- 健康保険適用外の診療になります。
- 治療成績を100%保証することはできません。
- どのような修復になるのかは、医学的判断によって決められます。
- ご希望のみによって決めることはありません。
- 当院では、いわゆる「ドックベストセメント(Doc’s Best Cement)」による治療は行っておりません。
精密むし歯治療の治療例
京都市中京区 愛歯科医院 院長 金明善